楽しいBBQのはずが、一瞬で悲惨なBBQに・・・
「楽しいはずのBBQが、一瞬で冷や汗に変わる」──そんな体験を、僕は身近で見ました。数年前、兄が炭の上に液体チューブ型の着火剤を“追い足し”した瞬間、炎が逆流して足元に引火。ズボンの裾から一気に燃え広がり、ふくらはぎを部分的に火傷しました。消火と応急処置で大事には至らなかったものの、ほんの数秒の判断ミスが事故につながることを、痛いほど学びました。
目次
なぜ事故が起きる? ── BBQの火が“危ない理由”
- 炎の逆流(フラッシュバック):火がついた炭に液体着火剤を足すと、蒸気に引火→炎が容器側へ逆流。ボトル破裂や衣服への延焼リスク。
 - 見た目と温度のギャップ:表面が黒くても、炭の内部は数百度のまま。触れた網やコンロ縁も超高温。
 - 油と風の相乗効果:肉汁やマリネの油が落ちる→火柱。風があると炎が横に伸び、タープや衣服に到達。
 - 「少しくらい大丈夫」の心理:慣れ・急ぎ・見栄。判断が1つズレるだけで事故に直行する。
 
絶対NG:火がついている炭に液体着火剤の追い足し/アルコール燃料の注ぎ足し/スプレー缶の近接使用。
※容器に火が入る“逆火”は、経験者でも回避できません。
よくある事故例(家族BBQで実際に起きやすい順)
- 着火剤の追い足しで衣服に引火(兄のケース)… 靴・裾から燃え上がる。ポリエステル系は溶けて皮膚に貼り付きやすい。
 - 熱い網・蓋・コンロ縁に触れて低温熱傷… 子どもの手の甲/大人の前腕が多い。見た目は軽くても痛みが長引く。
 - 油だまりの発火で火柱… アルミ皿に落ちた油が一気燃焼。タープ下だと布地に延焼。
 - 消し炭の不始末… 「消えたと思って袋へ」→翌朝再燃。公園・河原でボヤや地面損傷の原因に。
 
“しない・させない・準備する”の3原則
| 原則 | やること | ポイント | 
|---|---|---|
| しない | 着火剤の追い足し/アルコール注ぎ足し/風の強い日のタープ直下グリル | 着火剤は最初だけ。火がついたら絶対に追加しない。 | 
| させない | 子どもを火元30cm以内に近づけない/網・フタ・鉄板には触らせない | 「熱いからダメ」ではなく物理的に動線を作る(低テーブル柵・ベンチ配置)。 | 
| 準備する | 火消しツボ・耐熱グローブ・ロングトング・水バケツor消火用砂 | 「使わないかも」を持っていく。備えは事故の抑止力。 | 
兄のケースから学んだ、具体的な予防策
- 着火は一回で完結:着火剤→着火→風送→炭を育てる。火力不足は“炭の追加”で対応(着火剤ではない)。
 - 席配置を決める:風上にグリル、風下に人。子どもはグリル後方に入らない動線をつくる。
 - 服装ルール:化繊のヒラヒラ・ロングスカート・サンダルは避ける。裾は短く、足元は覆う。
 - “熱いものタグ付け”:網・蓋・ダッチオーブンは「熱い」と声に出す。受け手が「受けます」と返事。
 
もし燃え移ったら:初動3ステップ(覚えやすく)
- 止める:動かない(走ると酸素で勢いが増す)。
 - 覆う:濡れタオル・ブランケットで覆って酸素を遮断。なければ地面で転がす。
 - 冷やす:流水で15〜20分冷却。氷直接NG。水ぶくれは破らない。
 
衣服が溶着したときは、無理に剥がさず医療機関へ。痛みが強い/広範囲/顔・関節部は必ず受診。
子どもがいるBBQでの“5つの約束”
- 火元30cm以内に入らない(テープやベンチで境界線を作る)。
 - 網とフタは触らない・近づかない・乗せない。
 - 走らない、押さない、ふざけない(火元周辺)。
 - 「熱い」と聞こえたら止まる・待つ・見る。
 - ジュースはテーブル側、火のそばに置かない(こぼれ=油跳ねの誘発)。
 
ミニFAQ(よくある誤解)
Q. 表面が黒い炭はもう冷めていますか?
A. いいえ。内部は真っ赤で数百度のことも。袋や段ボールに入れるのは厳禁。
Q. 水を直接かけて消せば安全?
A. 高温の蒸気が立ちのぼり、火傷リスク。火消しツボや金属バケツ+水で「沈めて冷ます」が基本。
Q. 固形着火剤なら追い足しOK?
A. 火があるところへの追加はNG。追加は必ず火床の外で着火→炭を育ててから合流。
まとめ:火を楽しむには、火を“怖がれる人”であること
BBQは火と向き合う文化です。
火の美しさや温かさと同時に、一瞬ですべてを奪う力も持っています。
兄の火傷は、僕に「段取りと境界線、そして備えの重み」を叩き込んでくれました。
家族や仲間と笑って食べ終わるために、今日の学びを次のBBQへ。まずは追い足しをやめることからはじめましょう。
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